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トータルサービスシステムズ準備書面の支離滅裂

――デタラメ極まる詭弁・怪弁――

■「人材派遣業」社は派遣の許可を持ってない!?
アイシン精機ジェイテクトなどトヨタグループ企業
下請け会社・コーリツ(愛知県刈谷市、角岡昭典社長)の意向で
日系ブラジル人派遣社員
雇用期間途中に解雇された事件の裁判で、
角文グループの被告派遣会社・
トータルサービスシステムズ(代表取締役:鈴木民也)が6月25日、
名古屋地裁に答弁書を提出した。
この内容があまりにも支離滅裂なため、
紹介したい。

まずトータルサービスシステムズ(TSS)は、
原告・デ=モラエス=フランクリン=アキヒトさんが
当初入社した、
同じ角文グループの株式会社ベルテックについて、
人材派遣業を営んでいることを否定した。
フランクリンさんは訴状の中で、
ベルテックを
「自動車部品の製造及びその請負業務、
 人材派遣業等を目的とする株式会社」
などと紹介したのであるが、
TSS側はこれに対し、
次のように反論してきたのである。

原告の主張する会社の目的が
定款に記載されていることは認めるが、
実質的にはこのような活動はしていない。
主として業務請負と、
ブラジルなどにおいて、
訪日して働きたいと考えている外国人の
コーディネートをする業務をしている。
(被告準備書面)


準備書面では
「派遣業の許可を有する被告会社(筆者注:=TSS)」に対し、
ベルテックは「派遣許可のないベルテック」とも記述されている。

しかし、角文グループが開設するホームページには、
「株式会社ベルテック」の事業内容として
「人材派遣業」のみが記載され(2008年9月10日現在)↓、
http://www.kakubun.co.jp/kigyou/06kigyou.html
TSSのいう「業務請負」や
「外国人のコーディネートをする業務」の記載は
一切ない。
また、同じ準備書面の中でTSSは自ら、
フランクリンさんのベルテック入社の際に
派遣先においてコーリツ人事担当者同席のもとで
事前面接・テストが行なわれた際のことについて、
「原告が、
 派遣先のコーリツにおいて、
 技術・日本語についての簡単なテストを受けたことは
 事実である。
 ……なお、かかるテストは、
 コーリツに派遣される全ての従業員に対して
 実施されるものであり、
 原告のみを対象とするものではない」と述べ、
ベルテックがコーリツにおいて
「業務請負」を行なっていたのではなく、
「派遣」を行なっていたことを自白してしまっているのである。

■派遣先の違法な事前面接を公然と自白
また上記の派遣先における事前面接に関していえば、
派遣先が面接してスタッフを選定をしたり、
試験を実施したり、
仕事をさせた上で受け入れを決定するといった
いわゆる「事前面接」は労働者派遣法や
「派遣先指針」・「派遣元指針」で明確に禁じられている。

ところがTSSはあろうことか、
「かかるテストは、
 コーリツに派遣される
 全ての従業員に対して実施されるものであり、
 原告のみを対象とするものではない」として、
自ら公然と、
派遣元であるベルテックと派遣先であるコーリツが
一体となって違法行為を行なっていたことを
認めている〔注1〕。
〔注1〕一応念のためにいっておく。
もしTSSが主張するように
本当にベルテックが
「業務請負」を行なっていたというのであれば、
そもそも「元請け」が「下請企業」の労働者を
一々特定すること自体があり得ないのであって、
TSSの主張は、
ベルテックが行なっていたことが
まさに労働者派遣に他ならないこと、
ベルテックが行っていた労働者派遣が
労働者派遣法に違反することを
事実上認めたのと同じである。


またTSSは、
この違法な事前面接において
派遣先・コーリツの人事部門係長が
フランクリンさんに対して
「明日までは待ってくれ、
 仕事の場所を連絡する。
 長く勤めてほしい」と発言したことについて、
「コーリツ人事部門の係長の発言は、
 ベルテックと原告の雇用関係に影響するものではない」と
述べている(被告準備書面)。
しかし、
派遣(あるいは「業務請負」)であれば
本来被告会社の専権事項であるはずの面接に
被告会社は意図的にコーリツの人事担当者を同席させ、
まさに協同してこの違法な事前面接を執り行なったのであるから、
ここにおけるコーリツ人事部門係長の発言の責任を
免れることはできない。

■「正当な理由」と「やむを得ない事由」は全然違う!
TSSは
「いずれにせよ、
 解雇には正当な理由があるので、
 『やむを得ない事由』があったことになり、
 解雇は有効である」などと主張している(被告準備書面)。

しかし、
「解雇には正当な理由があるので
 やむを得ない事由があったことにな」るという彼らの理屈は、
期間の定めのある場合の中途解雇と
一般的な解雇とを全く同一に理解するものであり、
誤っている。
一般的にも
「客観的に合理的な理由を欠き、
 社会通念上相当と認められない」場合には
解雇をすることができないのであるが
(労働基準法18条の2、労働契約法16条)、
期間の定めのある場合はそれに加えて
「やむを得ない事由」がある場合でなければ
契約期間が満了するまでの間に
解雇をすることができない
(民法628条、労働契約法17条1項)とされているのであり、
期間の定めのある場合に中途解雇するのは
一般的な解雇より一層厳しい制約が課せられているのである。

「やむを得ない事由」は一般的な解雇に必要な
「客観的に合理的な理由」や
「社会通念上の相当性」に『加えて』、
雇用期間の定めのある労働者を中途解雇する際に
特に必要とされる要件なのだ。
「正当な理由があるので
 やむを得ない事由があった」などとは
到底言い得ないのであるが、
TSSはその根本的な理解さえ誤っている。

さらに、
解雇理由の正当性の論議を脇に措くとしても、
本件のような普通解雇においては、
30日前の解雇予告もしくは
手当の支払いが必要である(労働基準法20条第1項)。
それなのに、
TSSは法律上の規定を潜脱し、
事実上の即日解雇に対して
30日分の解雇予告手当の支払いすら
拒絶し続けているのであるから、
TSSの主張する「解雇」自体、
手続きとして適法に成立していない。

■ユニオンが恫喝!?
TSSは準備書面の中で、
次のように主張している。

被告担当者は,
解雇予告手当と休業補償の差額を支払うと述べたが,
ユニオン担当者は,
恫喝しながらさらなる金銭的請求をした。

本来紳士的に行われるべき労使交渉において,
ユニオン側から恫喝が行われたことから,
被告会社としては,
もはや団体交渉に応じる義務はないと判断し,
弁護士と相談の上,
交渉を打ち切ったのである。


交渉を打ち切られる直前の団体交渉は
1月22日のことである。
実際はこの時点においてなお、
TSSは「解雇予告手当と休業補償の差額」すら
支払おうとはしなかったのである。

その証拠に、この最後の団体交渉の後で
TSS自身が2月25日付で出した
労働委員会への「あっせん申請書」では、
「使用者の主張」の欄に、
「2007年6月6日に解雇予告と休業命令を出し、
 30日分の休業手当を支払っているので、
 これ以上の休業手当は支払いかねます」と
はっきり記載されている。
労働委員会のあっせん段階においてすら、
彼らはわずか「30日分の休業手当」しか支払わないと
述べていたのである。
それを、それ以前の団体交渉の段階で
「解雇予告手当と休業補償の差額を支払うと述べたが,
 ユニオン担当者は,
 恫喝しながらさらなる金銭的請求をした」などというデタラメを
一体誰が信用するというのだろうか。

TSSの主張は事実に反する。
事実に反するがゆえ当然であるが、
TSSは「恫喝」したとする「ユニオン担当者」の名も、
「相談」したとする「弁護士」の名も、
「ユニオン担当者」の「恫喝」とする
その具体的言動すら何ら明らかにすることができないのであり、
TSSの主張は全く具体性を欠いている。

大体TSSは、
フランクリンさんが本件を提訴した際、
中京テレビの取材に対し、
「話し合い途中で困惑している」とコメントしている。
このコメント自体も事実に反しており、
TSSの側から「話し合い」のための具体的な提案は
労働委員会のあっせん不調後
何らなされたことはなかったのであるが、
そもそもTSSが
「ユニオン側から恫喝が行われたことから」
「団体交渉に応じる義務はないと判断し」ていたというのであれば、
なぜ本件提訴時に
「話し合い途中で困惑している」などというコメントを発したのか、
全く説明が付かないではないか。

■問題があると「考えていた」!?
そして、極めつけがこれである。
TSSはフランクリンさんの解雇について、
準備書面において次のように主張した。

被告会社(筆者注:=TSS)としては,
原告(筆者注:=フランクリンさん)について勤務態度に問題がある
と考えていた。
そこで、
原告本人と十分面談するなどして,
勤務態度の改善を認めてからでないと,
重要な顧客である派遣先には
派遣できない
と考えていた。


この最後の「と考えていた」というのは
一体何なのだろうか。
「原告本人と十分面談するなどして,
 勤務態度の改善を認めてからでないと,
 重要な顧客である派遣先には
 派遣できないと考えていた」のであれば、
さっさと「原告本人と十分面談するなどして」
「勤務態度」の「改善」を図るべきではないか。
この会社は「と考えていた」というだけで
(後からなら何とでも言える)、
特段の注意・指導をすることはなかった訳なのだ〔注2〕。
〔注2〕「トイレが多い」という程度のことについて、
「慎むよう原告に注意していた」という記述があるのみだ。


傑作なのはこの、
被告会社としては,
原告について勤務態度に問題がある
と考えていた。
そこで,
原告本人と十分面談するなどして,
勤務態度の改善を認めてからでないと,
重要な顧客である派遣先には
派遣できない
と考えていた。

という文章に続く言葉である。
TSSはこれに続けて、
「しかし,
 原告は被告会社の運営について
 不平不満を言うばかりで,
 一向に反省しようとしなかった」と
くるのである。
超能力者じゃあるまいし、
どうやって「と考えていた」だけで
他人を「反省」させることなどできるのだろうか。

TSSからはフランクリンさんの入社から解雇に至るまで、
始末書を提出させるなどの具体的な指導や、
訓告・譴責・減給・出勤停止などの懲戒処分が
一度でも行われた事実さえ認められない。
無論、
解雇にあたってフランクリンさんに弁明の機会を
与えた事実も一切なかった。

■通知に受け取りサインをしたら「解雇承認」!?
TSSは、
30日間の休業命令という脱法的な行為をもって
解雇されるということを
フランクリンさん自身が了承していたと
次のように主張する。

被告会社担当者は、
乙1号証の雇用契約解消通知を作成し、
その内容を原告に説明して、
原告の理解を求めた。
原告は、
係る説明を聞き、
被告会社との雇用契約が解消されることを了承して、
被告会社の面前で乙1号証にサインしたのである。


これだけ読むとフランクリンさんは、
退職届か何かにサインした後、
後になってイチャモンを付ける
ただの言いがかりのようにすら見える。

しかしこの「乙1号証」なる書面には、
「退職届」などとは違い、
原告が「退職を了承する」というような文言は
どこにも入っていないのである。
フランクリンさんはTSSの担当者から、
「ここに名前を書かないと、
 今までの給料、
 残りの期間の給料、
 解雇予告手当を支払わない」と言われたため、
雇用契約解消通知を見て、
求めに応じて「名前を書いた」だけに過ぎない。
ブラジル人は成人になるころには一人一人、
日本人の「花押」のような各個人独自のサインを持っており、
自分の意思を表示する際にはこの「サイン」を用いる。
現にフランクリンさんは、
これまでの自分の雇用契約書には全てこの「サイン」を
用いている。
外国人登録書への署名欄にも
この「サイン」がある。

ところがこの「雇用契約解消通知」に書かれているのは、
単なるブロック体の名前である。
フランクリンさんは決して
「被告会社との雇用契約が解消されることを了承して」
これに「サイン」をしたのではなく、
単に、TSSが自分との雇用契約を解消する通知を
なした事実を認めて「名前を書いた」に過ぎない。
(後で通知自体が「あった」・「なかった」という水掛け論になるのを
 防ぐため)。
なお、「この雇用契約解消通知」は、
フランクリンさんが「名前を書いた」あと、
TSSの担当者に持ち去られてしまい、
そのままフランクリンさんに渡されることはなかった。


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by imadegawatuusin | 2008-09-10 21:14 | 労働運動