――随所で事実に反する中村社長の「陳述書」――
(←その1に戻る) ■警察の対応について さて、 稲沢市の人材派遣会社・イオスの中村末広社長は、 「(酒井注:緒方さんは)申立書では、 『警察官は納得し帰った。』と主張していますが、 全くのでたらめです。 以上に述べましたし、 浅野氏の陳述書にもありますように、 ユニオン側は警察官と少し話しをした後に、 帰っていきました。 『警察官が納得し帰った。』ということは ありません」と述べている。 この点に関して言えば、 中村社長の主張が正しく、 緒方さんの申立書の記述が誤っている。 緒方さんの申立書の記述が 誤ったものとなってしまったことに関しては、 すべての責任は私・酒井徹にある。 申し入れ行動に参加していない緒方さんは 当日の様子を知るよしもなく、 一切の責任がない。 私は緒方さんの弁護士である中谷雄二先生に、 「警察の人たちは納得してくれましたので、 それで(私たちは)帰りました」とお話しした。 私が言葉足らずであったため、 中谷弁護士はその言葉を、 「警察官が納得し帰った」という意味に解釈し、 申立書を作成されたのだと思う。 本来なら申立書の提出の段階で 私がチェックして訂正していただくべきところを 見落としてしまい、 このような結果となってしまった。 深くお詫び申し上げる。 事実は、 浅野文秀事務局長の陳述書にあるとおり、 私たちは警察に事情を説明し、 警察より先にイオスの事務所を後にした。 そのため、 その後イオスと警察の間で どのようなやり取りが行なわれたのかについては、 一切解らない。 ただ、中村社長の陳述書には、 警察が来るまでの経緯について、 明らかな偽りがある。 警察がイオスにやってきた経緯について中村社長は、 「そうこうしているうちに、 警察官がパトカーで2名駆けつけてくれました。 とにかくユニオン側は大勢で押し掛けた上、 がなり立てましたので、 まるで暴力団か、右翼かと思うほどでしたから、 当社の事務員がその態度に恐怖を覚え、 110番通報をしたということが分かりました」 などと言っている。 この書き方では、 中村社長は 警察官が駆けつけた当初は なぜ警察官が駆けつけたのか事情が分からず、 その後、 イオスの「事務員が…… 110番通報をしたということが分か」ったことに なっている。 しかし、この記述は事実に反する。 中村社長は明らかに、 警察が到着する以前から、 事務員が110番通報したということを 知っていた。 このときの経緯については 私もはっきり言い切るまでには 自信がないのだが、 私の記憶の限りでは、 中村社長自身が事務員に 「警察呼ぼう」と言っていたような 気がするのである。 ただ、 もしかすると先に事務員が警察を呼び、 それを中村社長に報告し、 中村社長が同意して 「警察よぼう」と言っていたのかもしれない。 この部分については少し記憶があいまいなのだが、 以下の事柄については 自信を持って真実であると言い切れる。 「警察よぼう」という中村社長の言葉を聞いて 私・酒井は、 なぜ警察を呼ぶのかと中村社長に問いただした。 中村社長は 「営業妨害だ」と答えた。 団交拒否という違法行為を公然と行なおうとしながら、 なおかつ警察を呼ぼうというその発想は 一体どこから沸いて出るのか、 私は非常に不思議な感覚にとらわれた。 むしろ私たちの方が 違法行為の被害者であるとしか 私には思えなかった。 しかし、 いかに情理を尽くして説得しても、 中村社長はユニオンの主張に まったく耳をかそうとはしない。 むしろ、 自分のやろうとする違法行為を 正当なものと思いこみ、 挙げ句の果てには 自分たちの側がまるで被害者であるかのように 勘違いしているような節さえあった。 そこで私は、 どうせ警察の方がお見えになるのなら、 双方の主張を聞いていただき、 どちらがまっとうなことを主張しており、 どちらが法違反を犯しているのか、 じっくり話を聞いていただきたいと考えた。 そこで、 イオスの側が 「被害者」として警察官を呼ぶのではなく、 私たち名古屋ふれあいユニオンの側からも 110番通報を行ない、 現場の雰囲気が相当に加熱する中、 双方の要請で 警察が間に入るという形にしたほうが よいのではないかと思い、 事務員が110番通報をした直後、 私も自分の携帯電話で110番通報を行ない、 イオス事務所への警察官の出動を要請した。 このことは、 110番の記録にも残っているはずだし、 当日駆けつけた警察官も、 「イオスの事務員の方と ふれあいユニオンの酒井さんの通報で 来た」とおっしゃったのを 私ははっきりと聞いているので、 調べればすぐに分かることだと思う。 110番通報は イオスの事務員だけが行なったのではなく、 ほぼ同時刻に私からも行なわれたのだ。 中村社長は 「警察の方は、 ……その後も、ときどき当社を訪問して、 本件についての事情を聞かれています。 当社のことも心配していただき、 もし意に反してまた押し掛けられたら、 警察にすぐに連絡してください、と 言われています。 また、 今回の仮処分申し立てにも興味を示され、 申立書の写しが欲しいと言われましたので、 当社はその写しを警察に提出しています」と、 必死になって 警察との「親密ぶり」をアピールしているのであるが、 それでいてこうした基本的な事実すら 警察から伝えられていないというのは 極めて妙な話である。 中村社長は 「警察の方は、 ユニオンの情報を集めてみえるようで」と 勝手に想像しているが、 ユニオンの情報を集めるのなら ユニオンの事務所を訪問するのが一番である。 私たちは駆けつけた警察官の方々に、 ユニオンの住所も連絡先も (もちろん私の住所・電話番号も) きちんと伝えているのである。 しかし私たちは、 そのような訪問を1度も受けておらず、 逆にイオスの事務所の側が 何度も警察の訪問を受けているのである。 110番通報は、 イオスの事務員が行ない、 それとほぼ時を同じくして 私・酒井も行なったものである。 駆けつけた警察官は、 「イオスの事務員の方と ふれあいユニオンの酒井さんの通報で来た」と おっしゃった。 私たちは警察の要請で いったん事務所から退出し、 事務所前の道路で警察の事情聴取を受けた。 労働者の要求を実現すべく、 非暴力を旨とし、 正々堂々と使用者・企業と立ち向かう 私たち名古屋ふれあいユニオンは、 何らやましいところがないので、 警察を恐れる必要はどこにもない。 ユニオンは誠実に警察の事情聴取に協力し、 イオスのこの度の非常識な対応を ありのままに説明した。 私たちは労働組合として、 会社に団体交渉の申し入れを、 非暴力の手段によって 行なっているということを警察官に説明し、 警察官は納得した。 だからこそ、 何の処罰もとがめだても説諭もなく、 私たちはイオスを後にすることができたのだ。 中村社長は警察官に、 「ワーワー言うだけで、話にならないので、 文書で申し入れをするように言っているのに、 聞き入れて貰えない」と説明したという。 もしこれが事実であれば、 中村社長は虚偽の事実を 警察官に対して申告したことになる。 名古屋ふれあいユニオンは前日の24日から、 FAXを使ってまさに 「文書で申し入れを」していたのであり、 そのことは中村社長自身が陳述書の中で 認めている事実だ。 中村社長はこのFAXについて、 「何が何やらさっぱり分かりません」などと うそぶいているが、 だからこそ、 6月25日の申し入れ行動の中では 充分に趣旨説明をさせていただいたはずだ。 この上何が 「文書で申し入れをするように言っているのに、 聞き入れて貰えない」なのか。 文書を差し出しても マルコス副委員長の書いた 「名古屋ふれあいユニオン」の「屋」の字が 正確でないと難癖をつけ、 それを認めなかったのは 中村社長のはずである。 名古屋ふれあいユニオンは、 本来なら前日の文書による申し入れで充分なところ、 中村社長自身の要請により、 わざわざ原本を持参して事務所まで出向き、 趣旨説明までしたのである。 中村社長は、 「その方(筆者注:=中村社長を事情聴取した警察官)は ユニオン側に行って、 私の要望を伝えていただきました」と言う。 私たちが イオス側からやってきた警察官に聞いた言葉は、 「会社側が、 なんか求めてる文書を出してほしいとか 言ってるんですけど……」といったものだったと 記憶している。 私は、 中村社長が言っていた 「委任状」など、 緒方さんが当労組に加盟している 事実が分かる資料のことかと思い、 「分かりました」と答えた。 その後、 浅野事務局長が 最後に中村社長に会いに行き、 二言三言言葉を交わして その場を後にしたと記憶している。 ■その後の経緯 さて、 どうして私が上記のように、 すでに半年も前の出来事を こうして克明に陳述することができたかというと、 イオス事務所から 名古屋ふれあいユニオン事務所に戻ってきた後、 私がイオス・中村社長の その日の非常識な対応に対する 抗議文を書いていたからだ。 ところがその抗議文の執筆がようやく終わり、 印刷して封筒に入れ、 いよいよポストに投函しようかと思っていたところ、 マルコス副委員長から電話があった。 「緒方さんから電話があって、 社長が緒方さんに、 『解雇は撤回するから話し合いましょう。 でもこのことはユニオンには内緒にしてほしい』と 言ってきた」というのだ。 私はそれを聞いて、 正直いうと 労働組合の組合員として通告して 団体交渉を申し入れている人間を、 組合の頭越しに会社と個別交渉させていいものだろうかと 悩んだ。 本来ならこれは、 これ自体が組合軽視の不当労働行為、 違法行為である。 もし会社が 緒方さんと話したいことがあるのであれば、 それこそ団体交渉の席で ユニオンが緒方さんを出席させ、 労使対等の場の中で 話し合いをするべきなのだ。 しかし、 そうして「原理・原則」ばかりを言っていると、 撤回される解雇が 撤回されなくなってしまうかもしれない。 相手はあの中村社長なのだ。 今まさに、 一人の労働者とその家族の 雇用と生活がかかっているのだ。 一人で判断する自身がなかった私は、 浅野事務局長に電話し、 話し合いの結果、 とりあえず本人の雇用の継続を第一に考え、 緒方さんには 翌日「話し合い」に行ってもらうことにしようという 結論に至った。 私はマルコス副委員長にその方針を伝え、 マルコス副委員長を通じて緒方さんに伝えられた。 だから私は、 たとえ中村社長が 「ユニオンが帰った後、 当社の担当者から緒方さんに 解雇予告を撤回の通知があったと 主張していますが、 そのようなことはありません」と言い張ったとしても、 「通知はあった」という確信を 曲げることができない。 マルコス副委員長からこの知らせがあったからこそ、 私は 今まさに印刷して封筒に入れ、 投函しようとしていた抗議文を 出しとどまったのだ。 その日のうちにその知らせがなければ、 私は遠慮なく抗議文をイオスに送付する予定だった。 それほどイオスの当日の対応は、 非常識極まるものだったのだ。 それをしなかったのは、 解雇撤回の一報が入ったからに 他ならない。 ■最後に その後、 緒方さんは中村社長が作成した、 「自称(名古屋ふれあいユニオン)運営委員長 酒井 徹が運営する組合らしき組織を訪れ、 ……担当者数人より強く加入を勧められ、 そのときはその場の成り行きでよく考えず 加入してしまいました」などとする デタラメな「誓約書」への署名を拒絶し、 再びイオスを解雇されてしまった。 労災にあった妻を抱え、 職場復帰を強く望んでいた緒方さんは、 それでも、 真実を曲げ、仲間を裏切り、 事実でないことを事実だということで 自らの職を確保する、 姑息な道を選ぶことはなかった。 たとえ仕事を失っても、 真実を貫き、真実に生き、 労働者の大義を貫く生き方を 緒方さんは選択したのだ。 緒方さんこそまさに、 英雄的労働者と呼ぶにふさわしい。 ひるがえって中村社長のやり方は どうだろうか。 私はその後、 緒方さんの争議については 担当のマルコス副委員長や浅野事務局長にまかせ、 直接タッチすることはほとんどなかった。 しかし、 私がこの目で見、 この耳で聞いて知っている 6月25日申し入れ行動前後に関しても、 中村社長の陳述は以上のとおり 随所で事実に反しており、 真相を歪曲していることが確認できる。 不実・不正の「誓約書」を、 「仕事」というエサをぶら下げて 緒方さんに強要しようとした中村社長のその心根と、 自らのクビを賭してでも 働く者の誇りにかけて真実を守り抜いた 緒方さんの姿とを、 公正な目で見比べてほしい。 どちらの側に道理があり、 どちらが道理にもとることをやっているのか、 答えは自ずと明らかであろう。 今回の緒方さんの解雇は、 明らかな不当労働行為だと私は確信する。 イオス・中村社長は、 ユニオンに対して 強烈な嫌悪感情を有していた人物であり、 日系ブラジル人労働者への蔑視が はなはだしい人物だ。 そのことは、 6月25日行動で 中村社長と直接相対した 私が確かに証するものである。 【関連記事】 イオス中村末広社長、ユニオン申入れに暴言連発 イオス事件、名古屋地裁で和解成立 労働組合:名古屋ふれあいユニオン 雇用形態や国籍に関わりなく、 愛知県下で働くすべての労働者が一人から加盟できる 地域労働組合(コミュニティユニオン)。 コミュニティユニオン全国ネットワークや コミュニティユニオン東海ネットワークにも参加。 今年3月に開かれた第10回定期大会では、 連合産別・全国ユニオンへの加盟について討議するとする活動方針を採択。 日ごろから組合員の学習会や交流会・相談会などを 積極的に企画しながら活動している。 現在、組合員数約200名。 組合員は組合費月額1500円。 賛助会員(サポーター)は年会費5000円。 住所:〒460‐0024 愛知県名古屋市中区正木4-8-8 メゾン金山711号室 (JR・地下鉄・名鉄金山駅下車 名古屋ボストン美術館の向かい) 電話番号:052‐679‐3079(午前10時~午後6時)月~金 ファックス:052‐679‐3080 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by imadegawatuusin
| 2008-12-25 16:06
| 労働運動
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自己紹介と連絡先
名前:酒井徹
生まれた日:昭和58(西暦1983)年8月22日 世わい:41歳 住みか:〒454-0013 日本国愛知県名古屋市中川区八熊一丁目12番6号 明治第4ビルディング205号 電話番号:070-4531-5528 電子郵件宛先:sakaitooru19830822@gmail.com ミニブログ(微網誌):https://twitter.com/SAKAI_Tooru カテゴリ
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